抄録
算数・数学教育は,時代と共に変化する社会の要請や教育理論,技術革新の影響を受け,常に進化を続けている。とりわけ「教育メディア」の変遷は,算数・数学の指導のあり方や学習方法や理解の深さに影響を与えてきた。本稿では,黒板とチョークの時代からデジタル教材の普及,AIやVR/AR技術の台頭に至るまで,算数・数学教育における主要な教育メディアの変遷を辿り,それぞれのメディアの特徴,教育効果や課題について考察する。また,歴史的背景や具体的な事例を交えながら,算数・数学教育における「教育メディア」の功績と限界を分析し,これからの算数・数学教育における教育メディアの展望と課題とそれらへの対応を提示する。今後の算数・数学教育における教育メディアは,複数のメディアを効果的に組み合わせた統合的な学習環境への進化が考えられる,一方,既存の具体的操作を伴う教材・教具の活用の継続の必要性を求める声は残ると考えられる。