抄録
本研究は,小学校低学年道徳科において,子供向け哲学番組と学習用生成AIを活用した「友情,信頼」の授業開発を試み,児童が生成AIとの関係性をどのように考えるかを分析した。2年生1学級を対象に授業実践ならびに授業中の対話ログと授業後の質問調査を分析した結果,児童は生成AIを人間に近い存在として捉えつつ,体の有無などの違いを意識して関係性を再評価していた。質問調査では,授業中と比較して「AIは友達だと思う」の肯定的回答が減少し,否定的回答が増加した。さらに,肯定群はAIを対話相手として受け入れる傾向が,否定群は道具的に利用する傾向が見られ,言語モデルの選択にも違いがあった。生成AIの利用意向は学習目的が中心であり,人間の友達に求めるコミュニケーションの要素は,ほとんど反映されなかった。これらの結果から,低学年でも生成AIを題材にした道徳的課題を扱うことが可能であり,児童が生成AIとの関係性を多面的に考える機会を提供できることが示唆された。