抄録
「GIGAスクール構想」下の特別支援教育では,ICTによる表現の拡張が期待されている。本報告では,生徒の生活年齢に応じた興味関心と技能の乖離を課題とし,iPadアプリ「GarageBand」と身体特性に合わせた独自インターフェース「段ボールギター」を導入した実践について,3人の対話によって指導方法の特色を洗い出した。個別の可動域に応じた操作面の工夫や,録音の細分化によるワーキングメモリへの配慮,流行の動画を模した本格的な収録環境を構築した結果,生徒の態度は受動的なものから自発的な目標設定や他者との協調を伴うものへと変化した。「音楽を自分たちのものにする」という認識や自己効力感の向上が確認された。今後は,児童生徒の実態に応じた難易度別教材の体系化が求められる。