選挙研究
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候補者選定過程における政党執行部の影響力
2010年参議院選挙の民主党を事例に
鶴谷 将彦
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2012 年 27 巻 2 号 p. 32-44

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抄録

本稿では2010年参議院選挙における民主党の候補者選定過程の分析により,政党執行部の地方組織に対する影響力の強さについて検討する。政治的資源や公認権限が執行部に集中していることを背景に,執行部の影響力は強くなったと一般的には言われている。2010年参院選における小沢の「複数擁立戦略」と,その方針に基づき行われた民主党の公認活動は「強い小沢,強い政党執行部」とのイメージをさらに抱かせるに至った。しかし,協議の過程で,県連など地方組織は自らの意向を反映させようと努力し,結果として執行部が妥協する場合もあるなど,執行部の影響力が強いと一概にいうことはできない。本稿では,執行部が自らの影響力を行使した京都府選挙区の事例分析から,執行部の影響力は必ずしも強いとはいえないものであること,さらに執行部の影響力が行使される中でも地方組織は自律的だったという2点を明らかにする。

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© 2012 日本選挙学会
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