抄録
本研究では政治家調査データを分析し,2010年参院選時におけるエリートレベルの政策的対立軸を示す。探索的因子分析の結果,「安保・社会政策における保守―リベラル度」「五五年型政治経済体制に対する賛否」「新自由主義的経済に対する賛否」「民主党目玉政策に対する賛否」と解釈しうる,4次元の統計的に有意味な軸が抽出される。これらの争点軸は,五五年体制期以来の旧来的政治対立構造に加え,90年代以降の経済財政危機,2009年の政権交代の実現等により累積的に形成されてきたものと考えられる。本研究では以上の結果から先行分析に対する再検討を行う。また,4次元軸上における主要政党の政策位置や散らばりの程度を示し,昨今の政党間・政党内競争のあり方に関する含意を得る。