選挙研究
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議会における与野党対立の代替としての台湾の「公民投票」
浅野 和生游 清鑫
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2016 年 32 巻 2 号 p. 18-33

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抄録

台湾では2003年12月に「公民投票法」が施行されたが,これ以後,2004年3月,2008年1月と3月の,3次にわたって国民投票が実施された。2004年には総統選挙と同日で,台湾の安全に関する2案の投票が行われたが,これは総統の発議によるものであった。 これに対して,2008年の2回の国民投票は,長期にわたる署名集めによって実施が認めら れたものである。結果的に,いずれも投票者中の賛否の結果ではなく,投票率が50%に達しなかったことにより成立要件を満たさず不成立に終わった。本研究では,その主因が, 国民党が自ら提案した国民投票案の不成立にも頓着せず,支持者に不投票を呼びかけ,有権者がそれに従ったことにあったことを明らかにした。これらの国民投票は,民意を問うことより,総統選挙および立法院総選挙の補強手段として,また議会における与野党対決の代替として実施されたものであった。

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© 2016 日本選挙学会
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