抄録
本稿は,メディアの選挙報道が有権者の投票行動に影響を与えるかという古典的な問いについて再検討する。具体的には,テレビ報道の内容分析と全国パネル世論調査(2波)を結びつける研究設計を用いて,これまで指摘された方法論的な課題を改善し,テレビ報道への接触により有権者の投票意図が変化するかを検証する。結果として,有権者の投票意図の変化は接触したテレビの報道量によって規定され,投票予定政党に関するネガティブな言及があったテレビ報道に多く接触すると,当該政党に投票しなくなることが明らかになった。海外のコンテクストで行われた先行研究と一貫して,有権者の投票選好がメディアに影響されていることを日本の文脈でも確認したことは,重要な意義を持ちうる。