抄録
有権者が重視する争点は何か。これは選挙のたびに話題になる問いである。しかし,各世論調査の重視争点を尋ねた質問はワーディングが統一されておらず,操作化される概念も異なる可能性がある。本稿では,3種類の質問文をランダムに示す実験を行い,争点投票の成立条件を満たすような,意見保有を伴う重視争点が回答されるかを比較した。その結果,単に「あなたにとって重要な争点」や「日本にとって重要な争点」を聞くと,明確な意見を必ずしも持たない争点が選ばれていた。一方,質問文で明示的に「投票先を決める際に重視する争点」を聞いた場合にのみ,外交・安全保障問題における意見の明確性と重視度が相関していた。また,経済や社会保障は質問文に依らず,意見の明確性と重視度の相関が見られなかった。以上から,重視争点の意味は質問文のワーディングや争点の種類によって異なることが示唆される。