抄録
一つの選挙区で複数の候補者が当選する中選挙区制において,最大議席の獲得を目指して複数の候補者を擁立する政党は,二つの戦略を立てる必要に迫られる。第一に,選挙区別に適切な候補者数を決めること,第二に,候補者間の得票を可能な限り均等に分けることである。この戦略について,中選挙区制を採用していた日本と台湾の政党を対象とした先行研究が蓄積されてきた。その多くは,政党組織が分権的か集権的かという点に注目して政党の選挙戦略を分析している。本稿は政党組織の集権性の他に,地方組織の発達レベルにも注目する。韓国の2018年市・区・郡議会議員選挙を対象とし,二大政党である「自由韓国党」と「共に民主党」の戦略を分析した結果,両政党の地方組織の発達レベルは地域によって差があり,地方組織が発達していない選挙区ほど,同じ選挙区内の候補者属性(性別と年齢)を積極的に差別化する傾向が観察された。