選挙研究
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日本政治史における選挙研究
楠 精一郎
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1999 年 14 巻 p. 32-40,177

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抄録

本稿は主として1980年代以降に書かれた日本の選挙の歴史に関する業績を整理し,今後の研究課題を示すことを目的としている。ところで,歴史学的な立場からの選挙研究を分類すれば,選挙制度史研究と選挙過程史研究の二分野になる。両者を比較するなら,史料的制約のより多い後者が立ち遅れたのは仕方のないことであった。しかし,政治史を深化させるには,選挙過程の研究は欠かせない。そのためにも,第一に基礎的選挙データの収集は急務であるし,第二に選挙の実情を伝える日記や書簡の収集も重要であろう。そして,第三に普遍的な視点を提供できるような分析が求められよう。経験的に知られた個別的事実を確認したに止まるだけでは,歴史研究として十分とはいえないからだ。

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