2011 年 53 巻 11 号 p. 755-759
福島の原発事故によって多量の人工放射性核種が海洋にもたらされた。今後,これらの核種がどのように生態系に取り込まれ,最終的に海洋生態系にどう影響するかを予測することは我々の安心安全を担保するうえで,極めて重要である。事故以前にも,既に海洋には原水爆実験や原子力施設よりもたらされた多くの人工放射性核種が存在し,その分布挙動について,多くの研究がなされている。本稿ではそれらの過去の研究の成果を総括することにより,海洋環境への影響予測の一助としたい。