2015 年 57 巻 8 号 p. 535-539
わが国同様,諸外国においても高レベル放射性廃棄物などの地層処分に向けた取組が行われている。ドイツでは,ゴアレーベンにおいて処分場を建設することとし,1970年代から探査が行われてきた。しかし,2013年に新たにサイト選定を行うための法律が制定され,現在はその実施に向けた準備が行われている。また,スイスでは,低中レベル放射性廃棄物処分場建設計画の失敗を受け,必要な法制度などを整備したのち,2008年からサイト選定が行われている。これら両国のサイト選定に共通することは,主に地質学的な基準に基づきサイトの絞り込みを行っていく方式を採用していることである。わが国においても,高レベル放射性廃棄物処分事業に関して,法令に基づく処分地選定調査に入る前段階に科学的有望地を提示し,重点的な理解活動を進めることを検討しており,これら両国の事例は,今後のわが国の取組に参考になるものと考えられる。