日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
報告
2002年地震本部の見解に信頼性はあったのか
―三陸沖から房総沖の地震活動長期評価の功罪―
吉田 至孝
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2020 年 62 巻 3 号 p. 153-157

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抄録

 刑事裁判において,三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価が,東京電力福島第一原発を襲った東北地方太平洋沖地震津波を予見できたかが争われ,東京地方裁判所は無罪の判決を言い渡した。裁判官は,地震本部の長期評価は具体的な根拠を示さず,そのため専門家,実務家,内閣府によって疑問が示され,客観的に信頼性,具体性があったと認めるには合理的な疑いが残るとした。本報告では,原子力学会誌2018年1月号の中で示したわが国の地震・津波研究に関して,当時の会合記録や関係者の回顧録を用いより深く掘り下げ,2002年の地震本部の見解に信頼性があったのかどうか考察するとともに,得られた知見を紹介する。

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© 2020 一般社団法人 日本原子力学会
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