2026 年 68 巻 2 号 p. 96-100
BWRプラントでは,ステンレス鋼やニッケル基合金の応力腐食割れ(SCC)を環境面から抑制するため,水素注入技術(HWC)が適用されてきた。炉水に注入された水素は,水の放射線分解により生成する,酸化性物質である酸素や過酸化水素と反応することでこれらの濃度を下げ,炉内の腐食環境を緩和することができる。しかしその効果は,注入する水素量のみならず,プラントの炉型や場所によって異なるが,酸素や過酸化水素の濃度を直接測定することは難しい。1980年代以降,コンピュータシミュレーションを用いた水質評価が行われている。シミュレーションは放射線化学パラメータである,G値や反応速度定数,プラントパラメータである,炉内のガンマ線,中性子線の線量率や炉水流速などをインプットとし各放射線分解生成物の反応を計算することで炉内各所の放射線分解生成物濃度を求めることができる。本報告では,放射線分解生成物の濃度を評価するための技術(ラジオリシス解析技術)の概要と,解析に用いる各種インプットパラメータを紹介する。また,実機で測定された水質データとシミュレーション結果の比較を通じて,モデルの妥当性および今後の課題についても述べる。