日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
原著
甲状腺結節に対する穿刺吸引細胞診において液状処理細胞診(Liquid-based cytology;LBC)を施行した症例の検討
坂東 伸幸後藤 孝赤羽 俊章大貫 なつみ山口 朋美佐和 弘基西原 広史田中 伸哉
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2013 年 30 巻 2 号 p. 142-147

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抄録

穿刺吸引細胞診は甲状腺結節の質的診断のために最も有用な検査である。当院ではこれまでプレパラートに穿刺吸引細胞を吹き付ける従来法で細胞診を行ってきたが,診断率は高くなかった。そこで液状処理細胞診(Liquid-based cytology;LBC)を採用した。2007年4月から2011年5月までに従来法で穿刺吸引細胞診を施行し,パパニコロウのクラス分類で判定した426病変(従来法群)と2011年6月から2012年8月までにLBCを施行し,当院で甲状腺癌取り扱い規約第6版に準じて判定した297病変(LBC群)との比較を試みた。検体不適正についてLBC群では27病変(9.1%)であり,従来法の68病変(16%)と差を認め,同規約の付帯事項である10%以下を達成した。手術施行し,病理組織と対比できた従来法群125例においてclass Ⅲを除くと感度69.6%,特異度95.2%,正診率80.5%であったが,LBC群53例では鑑別困難例を除くと感度,特異度,正診率とも100%を示した。穿刺吸引細胞におけるLBCは従来法と遜色ないと考えられる。

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