日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
症例報告
頸部顆粒細胞腫の1症例
志村 英二杉谷 巌戸田 和寿井下 尚子佐藤 由紀子元井 紀子
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キーワード: 顆粒細胞腫, 頸部, 甲状腺
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2013 年 30 巻 2 号 p. 152-155

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抄録

症例は36歳女性,健康診断にて前頸部腫瘤を指摘され,甲状腺腫瘍疑いにて当科を紹介受診した。頸部超音波検査にて甲状腺左葉下極に27×22×18mm大の辺縁分葉状の低エコー結節を認めた。穿刺吸引細胞診では,細胞質内に多数の好酸性顆粒を認めた。甲状腺腫瘍あるいは甲状腺外迷入病変を考え,甲状腺左葉切除術を施行した。病理学的所見では,腫瘍は甲状腺外軟部組織を中心に存在し,甲状腺組織にも浸潤性に増殖していた。腫瘍細胞は好酸性,顆粒状の豊かな細胞質を持つ類円形細胞よりなり,核異型は認めなかった。免疫染色の結果,腫瘍細胞はS100陽性であった。以上より,顆粒細胞腫と診断した。顆粒細胞腫の大部分は良性腫瘍と考えられているが,稀に遠隔転移や悪性症例の報告もされており,経過観察に注意を要する。

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