抄録
欧米では分化型甲状腺癌に対する甲状腺全摘術後のI-131を用いた放射性ヨウ素内用療法による残存甲状腺組織の除去(アブレーション)は標準的な治療法であるが,本邦では法規制およびヨウ素内用療法可能な入院施設の不足によりアブレーションが十分に行えていなかった。2010年本邦で外来アブレーションが可能となったのを受け,甲状腺全摘後の患者を対象に外来で30mCiの内用療法を施行した当院での32例について検証した。半年後に5mCi I-131シンチによるプラナー像における甲状腺床への集積の有無でアブレーションの成否を判定した。評価を行った28例全例で甲状腺床への集積を認めずアブレーション成功と判定でき,当院で実施している甲状腺全摘術の手技で,30mCiによるアブレーションは適切と考えられた。