日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
特集1
外科診療における医療安全の取り組み
岡本 高宏 坂本 明子堀内 喜代美野口 英一郎世川 修三宅 邦智廣澤 知一郎小川 真平板橋 道朗神尾 孝子瀬下 明良
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2016 年 33 巻 1 号 p. 7-11

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抄録

安全対策として第一に,そして常に行うべきは患者の状態を適切に把握し,その情報を医療者が共有することである。術前であれば周術期の安全に関わる全身状態や併存症の有無とその管理,疾患進行度の評価,そして術式に伴う手術合併症の危険がどの程度であるかを推定することが肝要である。危険が高いと思われる症例では詳細な手術計画書を医療安全対策室および麻酔科重症外来に提出し,必要に応じてハイリスク症例検討会や安全な医療推進検討会を開催する。手術の実施にあたっては入室時の患者確認,開始直前のブリーフィング,そして終了前のブリーフィングを行っている。術者と助手は安全と治療効果の最大化を目指して手術に集中することは言うまでもない。予想される合併症を念頭に術後もチームで診療にあたっている。各診療科はインシデントとアクシデントの有無とその内容を医療安全対策室に毎日報告することが義務づけられている(日報制度)。重大な医療事故が起きた際には直ちに医療安全対策室へ報告する。主治医団は事故への医療対応に専念する一方,報告を受けた同室は事故対応チームを設けて現場へ急行して状況を把握するとともに病院管理者を交えた症例検討会を速やかに開催し,方針を決定する。

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