日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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Print ISSN : 2186-9545
特集2
声帯内自家脂肪注入術
望月 隆一
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2016 年 33 巻 4 号 p. 233-238

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抄録

一側性声帯麻痺に対する音声改善外科手術には様々な術式があり,それぞれ一長一短を有するが,症例毎にその特徴を生かした術式を選択することが必要である。声帯内自家脂肪注入術はその中でも最も有用な術式のひとつであり,当センターにおける甲状腺手術後の音声改善手術は,本術式が全体の69.0%と他の術式に比べて多く,良好な音声改善効果を得られている。

本術式は声帯の体積を増大させる(augmentation)だけでなく,披裂軟骨を内転,内方移動(mediofixation)させることで,より良い効果を得ることができ,いわばinjection thyroplastyと考えられる手術である。

欠点として,注入した脂肪が吸収されることが挙げられるが,細胞増殖因子などを応用する報告もあり,将来的にさらなる良好な手術効果が期待できる。

これら声帯内自家脂肪注入術について,その適応,手術の実際,今後の展望について解説する。

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