日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集1
微小癌の病理診断
長沼 廣廣川 満良
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2018 年 35 巻 2 号 p. 87-89

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抄録

甲状腺微小癌とは1cm以下の甲状腺悪性腫瘍で,甲状腺癌取り扱い規約第7版では乳頭癌,濾胞癌,髄様癌,低分化癌,未分化癌,その他の悪性腫瘍を含んでいる。WHO分類第4版では1)papillary microcarcinoma,2)medullary thyroid microcarcinomaのみを微小癌として取り上げている。甲状腺微小癌は乳頭癌,濾胞癌,髄様癌でもそれぞれの組織学的特徴を確認できれば,十分診断可能である。T分類の評価における微少浸潤の判定は難しい場合があるが,WHO分類第4版およびTNM分類第8版では微少浸潤を伴う微小癌はpT1aとして扱われている。日本の規約と浸潤程度の定義が異なっていることに注意する必要がある。良性疾患の中に発見される偶発癌はほとんどが微小癌で,4~10%程度の頻度で見られる。切り出しの際に肉眼的に数mmの充実性腫瘤を見つけた場合は努めて検索することが大切である。今後画像診断技術が進めば甲状腺微小癌が数多く発見されるが,境界悪性,低悪性腫瘍の概念が出ている現在では経過観察を含めた治療選択に苦慮する。

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