2018 年 35 巻 3 号 p. 162-166
バセドウ病の外科治療は,まだ他の治療法も補充療法もない時代に始まった。必然的に治療の目標は術後甲状腺機能正常となる寛解に置かれ,亜全摘が標準術式となった。その後,補充療法が確立されると全摘術が治療の選択肢に加わった。そして放射性ヨウ素治療,次いで薬物療法が導入されると外科治療の適応は明確に減少した。今日の外科治療の適応は薬物療法に対する副作用や抵抗性,難治性,早期に機能改善を得たい場合,圧迫症状を伴う大きな甲状腺腫,免疫学的改善を得たい場合など,ほぼ再発が許容できない症例に限定されてきた。これに伴って治療の目標は寛解から再発のない治癒に変わり,結果的に長らく行われてきた亜全摘術に代わって全摘術が標準術式になった。残された課題は外科治療特有の合併症をいかに減らすかに絞られてきており,近年では超音波凝固装置などのデバイスや神経刺激装置(NIM),あるいは内視鏡手術なども保険適応となっている。