日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
特集1
Rapid Response Systemは甲状腺外科術後頸部血腫による心停止回避に有効か?
新井 正康
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2019 年 36 巻 2 号 p. 68-73

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抄録

Rapid Response System(RRS)とは,院内心停止数時間前のバイタルサインなどの軽微な異常を心停止の警告的な前兆と捉え,その段階で早期介入を行い,患者予後を変えようとする体制である。患者異常に気づいてRRSを起動する起動要素(起動基準,病棟メンバー)と,要請に応需する対応要素(集中治療の専門家など)からなる。頸部血腫による心停止は,ノンテクニカルスキルの向上により回避できる可能性がある。RRSの起動基準に頸部血腫に特徴的な兆候を加えるとともに,頸部腫脹時の再開創プロトコールを整備し,その中でRRSの役割を位置付けることが重要である。RRSが従来の<担当医-看護師>関係の間に入ることにより,職種間の情報や危機感の共有,協力支援体制が推進されることが考えられる。普段から,患者急変時の基盤システムとしてRRSを定着させておくことが,頸部血腫対策の前提としても重要と考えられる。

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