日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
特集1
反回神経・迷走神経合併切除例の神経再建術と音声改善手術
古田 康今井 聡打田 武史松村 道哉
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2020 年 37 巻 2 号 p. 82-88

詳細
抄録

甲状腺進行癌にて一側反回神経を合併切除する例においては,各種神経再建術や甲状軟骨形成術Ⅰ型(TP Ⅰ)などの音声改善手術の追加や併施を行い,発声機能の温存・改善を図ってきた。腫瘍切除時は,下咽頭収縮筋切断・輪状甲状関節離断・甲状軟骨下角鉗除を症例に応じ施行し,顕微鏡下に反回神経末梢側を同定してから切断している。神経再建方法は,端端縫合可能例は少なく,頸神経を用いた間置移植,頸神経ワナ縫合を基本としている。進行癌例においては迷走神経合併切除例もみられ,残存した迷走神経や舌下神経を用いた再建も行ってきた。神経再建のみ施行した15例中4例において術後MPTが5秒以下と不良であり,2例においてTP Ⅰを追加した。追加手術を躊躇する高齢者がみられたことから,70歳以上を主な対象に神経再建術とTP Ⅰの併施を15例で行った。本法においては術後早期から発声機能が保持または改善し,音声改善手術をさらに追加した例を認めなかった。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top