日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集1
気道浸潤の外科治療
榎本 圭佑玉川 俊次武田 早織熊代 奈央子平山 俊木村 貴任内野 眞也保富 宗城
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2021 年 38 巻 2 号 p. 57-62

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抄録

大多数の甲状腺癌は緩徐に進行し,その予後は良好であるが,時に気道(喉頭と気管)などの周囲臓器へ浸潤し,QOLの著しい低下や不幸な転帰をたどる症例を経験する。気道浸潤する腫瘍の大多数は表層のみであり,それらは喉頭や気管の枠組みを温存して表層切除(シェービング)が可能である。一方,内腔にまで浸潤をきたした症例では,腫瘍切除に伴い気管や喉頭壁の一部に全層欠損を生じる為,再建することが必須となる。再建は切除時に欠損部を修復する一期的再建と,気管皮膚瘻を作成しておき後日に瘻孔を閉鎖する段階的再建に大別される。一期的再建手術は腫瘍の浸潤した部位と範囲より術式を選択する。気管のみの浸潤例では,環状切除や楔状切除で端々吻合再建を行う。頻度の高い輪状軟骨~気管の浸潤例は,気管と輪状軟骨の側壁を失う為,対角に位置する気管壁を切除しての再建術(テトリス再建)が望ましい。今日の気道浸潤した甲状腺癌の外科治療についてまとめる。

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