日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
症例報告
甲状腺穿刺吸引細胞診後の咽頭後間隙から後縦隔に至る血腫に起因する呼吸困難に対して緊急手術を要した1例
関 健太宇留野 隆武内 寛中居 伴充山田 祐揮前田 純一星野 竜広横田 俊也池田 晋悟森田 茂樹池田 達彦辻 宗史太田 大介
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2022 年 39 巻 2 号 p. 145-150

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抄録

甲状腺結節に対する超音波ガイド下穿刺吸引細胞診(FNAC)は,比較的安全な検査で重篤な合併症は稀である。われわれはFNAC後に発症した,咽頭後間隙から後縦隔に至る血腫による呼吸困難に対し緊急手術を要した症例を経験したので報告する。

症例は68歳の女性。甲状腺右葉背側の4mm大の結節に対しFNACを施行。検査直後は特に症状発現なし。独歩帰宅中に,増悪する呼吸困難が出現し同日再来院。到着時,頸部腫脹はなかったが気道喘鳴を伴う呼吸困難があり,緊急気管内挿管を要した。造影CT検査では咽頭後間隙から後縦隔へ広がる血腫を認め,気管膜様部圧排による気道狭窄を生じていた。緊急手術で血腫を除去し縦隔内を観察したが出血源は同定できなかった。血腫の存在部位よりFNACの穿刺針が甲状腺背側をわずかに貫通し咽頭後間隙に出血したと考えられた。血腫除去,甲状腺右葉切除術,中央区域郭清を行い術後5日目に退院,甲状腺結節は甲状腺乳頭癌の診断であった。

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