2022 年 39 巻 3 号 p. 199-204
当院では,2019年12月から保険診療によるがんゲノムプロファイリング検査(CGP)を開始し,甲状腺癌に対しては,2022年4月までに11例に検査を施行した。組織型は乳頭癌8例,濾胞癌2例,円柱細胞癌1例で,治療歴は放射性ヨウ素内用療法(RAI)+Lenvatinib 8例,RAI skip+Lenvatinib 2例,RAI+Lenvatinib+Sorafenib 1例であった。全例で解析は完遂され,治療標的となる可能性のある遺伝子変異の検出率は73%(8/11),エキスパートパネル後の治療到達率は27%(3/11)であった。RET融合遺伝子陽性に対してSelpercatinib投与を2例に,BRAFV600E変異に対してEncorafenib+Binimetinib投与を1例に行った。甲状腺癌は他癌よりも治療到達率が高いため,CGPにより治療選択肢が拡がる可能性が期待される。