2022 年 25 巻 p. 53-62
製造業を中心にCSR活動の研究が進展しているが,小売業のCSR活動の特性を明らかにする研究は不十分である。製造業に比べ,小売業のCSR活動は規模が小さく,社会的なインパクトが小さい反面,CSRの対象である社会・市民と直接的に関わり合う度合いが高く,相互作用を生むためCSR活動が重層的に発展する可能性を有している。本稿は,小売業の産業特性に着目しながら小売業のCSR活動の意義を検証する。その上で,小売業が国際化をする過程でいかなる形でCSR活動を発展させる可能性があるのか,進出後27年の歴史を有するイオンマレーシアを事例として検討していく。