ジャフィー・ジャーナル
Online ISSN : 2434-4702
2次ガウシアン多通貨モデルに基づく債券と株式のリスクプレミアムの期間構造
菊池 健太郎
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2025 年 23 巻 p. 22-65

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抄録

2次ガウシアンモデルに基づく金利期間構造モデルは,下限金利を持つショートレートモデルであり,債券価格のボラティリティ変動を表現するだけでなく,金融危機後に先進国でみられた超低金利イールドカーブを表現する柔軟性を備えている.本研究では,2次ガウシアンモデルを債券と株式に適用し,多通貨市場での債券・株式の同時価格付けモデルを構築する.そのうえで,投資期間に応じた債券や株式のリスクプレミアムと解釈される債券のタームプレミアムと株式のフォワードイールドの解析表現を導出する.また,日米の市場データを用いたモデルの推定を行い,推定値が観測値と高い適合度を示すことを確認するほか,債券のタームプレミアムや株式のフォワードイールドの計測値と景気循環との関係が,先行研究で得られている性質と整合的であることを示す.さらに,日米の金融資産価格に影響を与える共通変数と各国の資産価格のみに影響を与える固有変数が,債券や株式のリスクプレミアムにどのような影響を与えているのかを定量的に明らかにする.

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© 2025 一般社団法人日本金融・証券計量・工学学会(ジャフィー)
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