日本食品保蔵科学会誌
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エチレン処理後の包装がカキ‘西条’(Diospyros kaki Thunb.)の熟柿化と裂果に及ぼす影響
赤浦 和之板村 裕之
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2010 年 36 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

 カキ‘西条’の熟柿化過程における裂果は熟柿生産の大きな障害となっている。裂果抑制方法の確立を目的としてエチレン処理後の包装条件が裂果に及ぼす影響を調査した。収穫後の‘西条’を0℃で数週間の貯蔵後,20℃温度条件下密封容器内で48時間エチレン100ppm処理を行った。エチレン処理終了直後,処理果実は有孔ポリエチレン袋または開口率の異なる数種のコンテナーに詰め20℃で4日間貯蔵した。1果あたりの開口率39.3mm2の有孔ポリエチレン袋個包装により裂果率は有意に減少した。1果あたりの開口率42.5mm2および137.8mm2のコンテナー包装も同様に裂果率を低下させた。開口率137.8mm2のコンテナー包装では開口率の小さいコンテナーに比べてヘタの脱落が多く,また果実重の減少は最大であった。実用の観点から,1果あたりの開口率42.5mm2のコンテナー包装および開口率39.3mm2の有孔ポリエチレン袋個包装が,熟柿化過程におけるカキ‘西条’果実の裂果抑制に対して最も効果的であると思われた。

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© 2010 一般社団法人日本食品保蔵科学会
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