日本食品保蔵科学会誌
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さなぎを用いた新規調味液の製造Ⅱ
谷口(山田) 亜樹子坂蒔 美稔子菊池 修平髙野 克己
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2011 年 37 巻 6 号 p. 295-300

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抄録

 本研究ではさなぎの食品への有効利用として,カイコのさなぎに醤油麹およびキチナーゼ製剤を用い,良質で機能性のあるさなぎ調味液の開発を行った。

 その結果,醤油麹およびキチナーゼ製剤を作用させた調味液は一般の醤油に比べ,アミノ化率が高く,アミノ酸,ペプチドが多く生成されていることが確認された。また,醤油に含有されていないタウリンが含まれており,さらにGABA含量が醤油の46倍多く,機能性のあるアミノ酸が多く含有されていることが確認された。醤油麹およびキチナーゼ製剤を作用させた調味液のポリフェノール量は173mg/100mであり,抗酸化作用は醤油に比べ2.7倍高かった。さなぎ調味液の色調は澄んだ茶褐色で,加工食品の利用にも充分利用価値の高いものであった。

 本研究の結果から,さなぎ調味液の製造に麹およびキチナーゼ製剤の利用効果が認められ,さなぎの機能性に富んだ調味液の利用が確認された。

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© 2011 一般社団法人日本食品保蔵科学会
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