本研究ではさなぎの食品への有効利用として,カイコのさなぎに醤油麹およびキチナーゼ製剤を用い,良質で機能性のあるさなぎ調味液の開発を行った。
その結果,醤油麹およびキチナーゼ製剤を作用させた調味液は一般の醤油に比べ,アミノ化率が高く,アミノ酸,ペプチドが多く生成されていることが確認された。また,醤油に含有されていないタウリンが含まれており,さらにGABA含量が醤油の46倍多く,機能性のあるアミノ酸が多く含有されていることが確認された。醤油麹およびキチナーゼ製剤を作用させた調味液のポリフェノール量は173mg/100mℓであり,抗酸化作用は醤油に比べ2.7倍高かった。さなぎ調味液の色調は澄んだ茶褐色で,加工食品の利用にも充分利用価値の高いものであった。
本研究の結果から,さなぎ調味液の製造に麹およびキチナーゼ製剤の利用効果が認められ,さなぎの機能性に富んだ調味液の利用が確認された。