2016 年 42 巻 2 号 p. 71-77
青果物の組織内間隙におけるガス組成を予測し,制御する技術の確立によって,個包装やコーティングなど青果物の表面を直接被覆する貯蔵技術を開発し,従来のMAPやCA貯蔵技術を改善できるものと期待される。それには,組織内ガス拡散抵抗(レジスタンス)にかかわる情報が必須である。本研究では,イヨカン果実を利用して,Cameron and Yangのエタン流出法によるレジスタンスの測定法を改善し,温度および果実サイズのレジスタンス値への影響,およびエタンガスによる測定値を利用してO2とCO2ガスのレジスタンス値を予測するための計算式を示した。改善した測定法による結果はCameron and Yangによる測定結果と良好に一致し,測定時間を短縮することができた。レジスタンス値は温度と果実サイズに依存し,温度の上昇により減少し,果実サイズの増大により増加した。これらの結果と,O2とCO2ガスのレジスタンス値を予測する計算式により,呼吸作用に伴うガス交換におけるレジスタンス値の特性を把握することができた。