Bio-Theta DOXTMシステムを用いた食品中の非チフス性サルモネラ(NTS)の定量的検出法を開発した。本検出法は低濃度(約1log CFU/mℓ)の10菌株のNTSを検出することが可能であった。また,本試験においてサルモネラ属菌ではない計26種類,32菌株の中濃度(約3log CFU/mℓ)の細菌や真菌を検出することはなかった。検出時間と供試した10血清型のNTSの菌数とは直線性の高い検量線を示した(相関係数は>0.93)。5種類の肉検体にS. Enteritidis, Infantis, Typhimuriumを中濃度(2~3log CFU/mℓ),低濃度(1~2log CFU/mℓ),超低濃度(<1log CFU/mℓ)に添加した検出実験を5回ずつ試みた。中濃度および低濃度を添加した150試験ではすべてNTSを検出できた。超低濃度(<1log CFU/mℓ)を添加した3つの血清型では各々25試験中24試験が検出できた。超低濃度でのNTSの検出時間は680~988分でS. Enteritidisは平均772分,Infantisは平均753分,Typhimuriumは平均787分であった。DOXシステムは通常半日以内に結果を判定できる簡素な方法である。さらなる妥当性確認試験が必要であるが,食品検体中の約250CFU/25g以上のNTSを簡素な方法で短時間で確認することができるので,本法は食品製造工場では有効な検査法となると思われた。