日本食品保蔵科学会誌
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リポポリサッカライドによる一酸化窒素および炎症関連分子群に及ぼすトリゴネリンの作用機序
相澤 有美鈴木 司齋藤 彰宏佐藤 清敏小倉 立己若山 正隆曽我 朋義辻井 良政本間 和宏井上 博文
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2020 年 46 巻 6 号 p. 275-280

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抄録

 マクロファージは,細菌感染などにおいて活性化する細胞であり,一酸化窒素(NO)などの炎症性物質を産生することで生体防御能を発揮する。しかしながら,細菌感染などに伴うNOの過剰産生は,慢性的に続くことで糖尿病や動脈硬化性疾患などの様々な疾患の要因となるため,これまでNOの過剰産生を抑制する食品成分について研究がなされている。本研究では,動脈性硬化疾患の予防との関連が報告されているコーヒーなどに多く含まれるトリゴネリンが,リポポリサッカライド(以下,LPS)によって産生されるNO量およびその抑制機序について明らかにすることを目的とした。マウス由来培養マクロファージ(RAW 264.7)を100ng/mℓLPS刺激により産生されたNOは,50μMトリゴネリン処理により有意に減少した。また,LPS刺激に伴い上昇する誘導型NO合成酵素(iNOS)および炎症性メディエーターであるCOX2の遺伝子発現量は著しく減少した。同様に,LPS刺激にて増加した炎症シグナル分子群TNF-α,IL-1βおよびIL-6においてもトリゴネリン刺激により遺伝子発現が抑制された。さらに活性酸素種産生酵素であるp47phoxおよびp67phox遺伝子発現もLPS処理により増加したが,トリゴネリン処理により,それらの発現は有意に減少した。以上より,マクロファージにおいて,トリゴネリンはLPS誘導性炎症性メディエーター群および活性酸素シグナル分子の発現抑制を介し,過剰なNO産生量を減少させることで炎症を抑制していることを明らかにした。

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© 2020 一般社団法人日本食品保蔵科学会
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