日本食品保蔵科学会誌
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ヒト口腔より分離されたStreptococcus mutansに対する納豆のバイオフィルム形成抑制効果
政所 謙吾君島 愛美伊藤 龍朗太田 雪菜指田 もも子成澤 直規竹永 章生
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2022 年 48 巻 6 号 p. 273-279

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抄録

 口腔常在菌Streptococcus mutansは酸生産性,酸耐性に優れ,またスクロースを基質して強固なバイオフィルム形成能を有する。よって本菌は主要なう蝕原因菌とされる。当研究室ではこれまでに納豆の水溶性画分はS. mutansに対してバイオフィルム形成抑制効果を有することを明らかにした。S. mutansは遺伝的にも表現型的にも多様であり,そのバイオフィルム形成能は菌株レベルで異なる。本研究では,ヒト口腔内から分離された遺伝子型とバイオフィルム形成能の異なる9株のS. mutansに対する納豆のバイオフィルム形成抑制効果を検討した。本研究では,実験室規模で生産された納豆を用いてバイオフィルム形成抑制効果を評価した。製造された納豆について,糸引きの主成分であるγ-ポリグルタミン酸,およびプロテアーゼ活性は市販品と同じであった。納豆から得られた水溶性画分は,試験したすべてのS. mutansにおいてバイオフィルム形成を用量依存的に阻害した。さらに,納豆に含まれる主要なプロテアーゼであり,ナットウキナーゼとしても知られる市販のサブチリシンNATのバイオフィルム形成抑制効果は,納豆抽出物と同程度であった。これらの結果は,納豆が様々な特徴を有するS. mutansに対してバイオフィルム形成抑制効果を有し,う蝕予防食品として使用できることを示唆している。

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© 2022 一般社団法人日本食品保蔵科学会
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