2024 年 50 巻 2 号 p. 71-82
本研究では,ウコン精油成分がNASHモデルラットの脂質代謝および血圧上昇に及ぼす影響を検討した。秋ウコン粉末から50%エタノールで抽出液を調製し,n-ヘキサンで分画(HF)した精油成分および秋ウコン粉末から水抽出後にクロロホルムに転溶して調製したビサクロン画分(BIS)を独自に設計したコリン欠乏―高脂肪・高果糖(HFF-CD)食に添加し,食餌誘導性NASHモデルSHRSP5/Dmcrラットに12週間,13g/日を与えて飼育した。12週間後,麻酔下で採血して安楽死させた後,組織を摘出して肝臓と各脂質の重量,血清ALT,AST,TG,肝臓TG,TBARS値,脂質代謝関連遺伝子発現量,肝臓の病理組織学的解析を行った。また,3週毎に収縮期血圧測定を実施した。その結果,HF画分およびBIS画分では,肝臓のTBARS量の有意な減少,脂質代謝関連遺伝子検査でPPAR-αの上昇傾向,PPAR-γの低下傾向が認められた。病理組織学的解析では,HFおよびBIS画分の投与で脂肪化による大空胞の減少と線維化の抑制が認められた。また,BIS画分では収縮期血圧の有意な上昇抑制が認められた。これらの結果は,HF画分およびBIS画分は,NASHモデルラットの脂質代謝を亢進させ,肝臓への脂肪蓄積を抑制する作用があることを示唆する。また,BIS画分はSHR系ラットに対して血圧上昇抑制作用を示すことが判明した。