コールドチェーン研究
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低温貯蔵がビニール被覆栽培野菜の貯蔵性に及ぼす影響に関する研究
特にピーマン貯蔵中の品質, アスコルビン酸の変化について
高間 総子斎藤 進
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1976 年 2 巻 2 号 p. 60-64

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抄録

本研究はピーマンをビニールで被覆した区と,対照区として被覆しない2区を設けて水耕栽培をし,収穫後のピーマンの品質,アスコルビン酸および遊離アミノ酸等の消長によりその貯蔵性を調べ,更に低温貯蔵の影響を検討したものである。
(1) ビニール被覆のもとで栽培したピーマンの色沢や硬度等の品質および還元型アスコルビン酸の含有量は,被覆しないものに比較し,劣った結果であった。
(2) 室温貯蔵においては,特にビニール区のピーマンの品質,還元型アスコルビン酸含有量の著しい低下がみられた。また遊離アミノ酸のパターンも貯蔵前に比べかなりの変化が認められた。
(3) しかし低温貯蔵では,低温貯蔵12日目でも,両区の品質およびアスコルビン酸含有量には低下が少なく,室温貯蔵におけるような品質,鮮度の劣化もみられなかった。また遊離アミノ酸の貯蔵中の消長もほとんどみられなかった。
(4) すなわち本実験では,ビニール被覆のもとで栽培したピーマンは対照区のものに比べ貯蔵性が悪いこと,またこの場合でも低温で貯蔵すれば,保鮮効果の高かったことを認めた。

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