抄録
我々は大豆蛋白質から, 流下法によって繊維状蛋白質を得る製法を開発し, 食品素材として品質, コスト共にほぼ満足し得る製品を得た。そこで, 我々の製法で得た繊維径0.3mmと0.8mmの2種の糸状凝固物を, それぞれ前者はみじん切り, 後者はローラープレスの前処理を加えて, 肉の50%を置換配合したハンバーグ (それぞれ, R, M) を作り, 現在市販されている繊維状大豆蛋白質を同様に配合したハンバーグ (F) と60名のパネルで官能的に比較した。
その結果, 見た目のおいしさ, こく, 硬さ, 肉粒感では3者間に有意の差を認めなかった。しかし, Fはやや大豆臭があり, 香り, 味, 歯ざわり, 後味では, ローラープレス処理をしたRが有意に良いと評価され, 総合的にも有意に好まれた。RとMは, 繊維径と機械的前処理法が異なるが, ローラー処理でフレーク化したRの方が組織上の評価 (歯ざわり, 肉粒感) が高く, 繊維径よりは機械的前処理方法の選択の方が重要であることを示唆した。