食品と低温
Online ISSN : 2186-1250
Print ISSN : 0285-1385
ISSN-L : 0285-1385
ナスの低温障害に関する研究
蔡 龍銘
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 12 巻 4 号 p. 119-123

詳細
抄録

本研究では台湾産の'屏東長茄'種ナス果実を材料とし, 1℃, 10℃および16℃にて, 貯蔵中の品質変化を調べ, また, 低温障害の発生状態を観測した。
ナス果実を厚さ0.03mmのポリエチレン袋で包装し, 各温度処理に有孔区, 密封区およびエチレン除去区を設けた。
貯蔵期間中, 週ごとに品質の変化および低温障害の症状, すなわち, 水分含量, アントシアン含量, 可溶性固形物含量, 果肉硬度, 表皮のピッティング, 種子部の褐変などを調査した。
1℃で1週間以上も貯蔵した果実は完全に軟化し褐変した。10℃で貯蔵した場合, 密封区に最初にピッティングが発生し, 次ぎにエチレン除去区に, 最後に有孔区にも発生した。
20℃通気貯蔵でナス果実の呼吸量を測定した。始めは10-15mg/k9/Hrの低レベルであったが, 10日以降になるとカビが発生し, 呼吸量も40mg/kg/Hrまで上昇した。
低温障害が進むにつれ, 果肉中の柔軟細胞の扁平化は多くなったが, 表皮層の細胞は変化していなかった。

著者関連情報
© 日本食品保蔵科学会/学術著作権協会
前の記事 次の記事
feedback
Top