食品と低温
Online ISSN : 2186-1250
Print ISSN : 0285-1385
ISSN-L : 0285-1385
パーシャルフリージングによるヒラマサ, シマアジなど数魚種の鮮度保持
江平 重男内山 均
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 12 巻 4 号 p. 125-135

詳細
抄録

ヒラマサ, クロサギ, シマアジ, ヒラソーダおよびトラフグを即殺, 氷蔵およびパーシャルフリージング (PF) (-3℃) 貯蔵して, 貯蔵中の鮮度低下および筋原繊維たんぱくの変性を追及し, それらを両貯蔵区間で比較した。
1) PF貯蔵により, ヒラソーダを除き, 生鮮度保持期間を氷蔵の2.5-8倍, 9.5-20日間延長できた (Fig.1, Table 3) 。
2) 漁獲時の激動により体温上昇が著しいヒラソーダの生鮮度保持には速やかに冷却することが特に重要であると考察された。
3) PF貯蔵は腐敗防止にも有効であった (Fig.2) 。
4) 抽出性からみた筋原繊維たんぱくの変性は, 氷蔵中腐敗に至るまで, PF貯蔵でも21日間顕著に増大する傾向は認められなかった。
5) 筋原繊維たんぱくの変性が顕著でなかった理由は, 筋肉pHの低下が比較的小さく, 6以上にとどまったためと考察された。
6) 筋肉pHの低下と乳酸量間には明瞭な相関々係は認められなかった。
7) 今回の実験を総括し, PF法は漁船内鮮度保持の改善に有効と考えられた。

著者関連情報
© 日本食品保蔵科学会/学術著作権協会
前の記事 次の記事
feedback
Top