食品と低温
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コールド・チェーンにおける青果物の品質保持と温度許容度に関する研究
(第6報) 軟弱野菜-カイワレダイコン, ミツバ, シュンギク-について
南出 隆久岩田 隆
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1981 年 7 巻 1 号 p. 10-16

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抄録
大都市近郊で栽培され, 新鮮さが要求される軟弱野菜について収穫後の品質変化と温度許容度を調べた。材料として, 砂耕栽培したカイワレダイコン, ミツバ, シュンギクを用いた。
1. カイワレダイコンは収穫後子葉の黄化, 根毛の変色などにより急激に鮮度低下をきたすとともに, 還元型アスコルビン酸 (ASA) 含量も急減した。しかし, 辛味成分のイソチオシアナートはほとんど変らなかった。商品性保持期間は1℃で約23日, 6℃で10日前後, 20℃で3日であった。
2. ミツバは香りが大切であるが, 1℃に貯蔵しても5日程で揮発成分に変化が現れ, 香りの低下をきたした。しかし, ASA含量は1℃で貯蔵2-5日にかけて一時増加した。1℃1日, 3日, 5日貯蔵後, 20℃に変温すると, むしろ20℃のものに比べASAは急減した。ミツバは1℃で30日, 6℃で15日, 20℃で5日で商品性の限界に達した。
3. シュンギクをポリエチレンフィルム (厚さ30μ, 20×30cm) 包装する場合, 密封の状態で1℃貯蔵すると有孔のものに比べASAが急減した。しかし, 6℃および20℃ではそのようなことはないし, むしろ密封包装により緑色保持の効果があった。シュンギクの商品性保持期間は, 1℃で約15日, 6℃で7日, 20℃では2-3日と他の野菜に比べ貯蔵性のないことがわかった。
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