食品と低温
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数種の青果物のプラスチックフィルム包装貯蔵に関する研究
寺井 弘文水野 進
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1983 年 9 巻 3-4 号 p. 81-89

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抄録

本研究は種々の青果物を用い, 簡便なCA貯蔵としてのフィルム包装を行い, フィルムの材質および封入剤について, その効果を青果物の品質および包装内のガス濃度の面から調査したものである。
ホウレンソウ, シュンギク, キャベツ, ハクサイ, ニンジン, ダイコンを15℃下で, 西洋ナシは20℃下で, モモ, ブドウは1℃下で貯蔵した。
ホウレンソウは有孔ポリエチレン (ポリ) +バガスシート (シート) 区で, 貯蔵7日間は比較的良好に品質が保持された。シュンギクは無孔ポリ+シート区で, 他区に比べてやや良好であった (貯蔵7日) 。結球野菜のキャベツ, ハクサイは上記の葉菜に比べて貯蔵性は良かった。特に, キャベツは無孔ポリ区において表面葉に斑点が出現し, また有孔ポリ区では外葉の黄化はみられたものの, 内部葉はいずれも健全であり, 品質は良好に保持された (貯蔵14日) 。ハクサイはキャベツに比べ外葉のいたみが激しく, 水浸状となり, カッ変しやすく, なかでも有孔ポリ+シート区でその傾向が顕著であった。ニンジンは14日間の貯蔵後は, いずれの区も葉の付根部で腐敗が認められたが, 無孔ポリ区は有孔ポリ区に比較して葉の緑色がやや保持された。ダイコンは貯蔵14日でいずれの区も脱葉が認められ, 特に有孔ポリ区で根に “す入り” がみられた。しかし, 無孔ポリ区では “す入り” の発生はなかった。
西洋ナシ (バートレット) を20℃下で15日間包装貯蔵し, その後開封して同温度下で貯蔵した。有孔ポリ区は貯蔵6日で黄化が始まったが, 無孔ポリ区, キャンズ (ガス透過性極小フィルム) 区は包装中は緑色が保持された。後者2区のうち無孔ポリ区は開封後正常に追熟したが, キャンズ区は緑色のまま果肉が水浸状になり, カッ変するものが多数認められた。モモ果実 (大久保) を1℃下に貯蔵したところ, 無孔ポリ, キャンズ区で果肉の軟化を抑制した (貯蔵29日) 。さらに1カ月, 計60日貯蔵したものでは, ポリ包装区は良好な品質であったが, キャンズ区は果肉が堅いまま灰白色になり, 品質は不良であった。ブドウ (ベリーA) を1℃下で30日貯蔵し, 無孔ポリ+バガスシート区で良好な品質を得た。

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