日本食品低温保蔵学会誌
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貯蔵中におけるすじこ脂質の経時的変化
竹永 章生平間 己敬伊藤 真吾露木 英男
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1990 年 16 巻 4 号 p. 163-172

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抄録

すじこを5℃で4週間, -3℃で8週間, -18℃で16週間貯蔵し, 一定期間毎に総脂質を抽出し, その化学的性状, 脂質組成および脂肪酸組成の経時的変化を調べ, 貯蔵温度, 貯蔵期間と脂質酸化との関係について検討した。総脂質含有量の経時的な変化はほとんど見られなかったが, 酸価, 過酸化物価およびカルボニル価は上昇し, 一方ヨウ素価は貯蔵中に減少した。総脂質を構成する各脂質含有量の変化については, 複合脂質区含有量の減少, 中性脂質区含有量の増加, さらに中性脂質区の主要脂質であるトリアシルグリセロールと複合脂質区の主要脂質であるホスファチジルコリン含有量の減少, ならびに遊離脂訪酸含有量の増加が認められた。また, 総脂質, 中性脂質区および複合脂質区の主要脂肪酸組成比の変化については, 20 : 5, 22 : 6のような高度不飽和酸の減少, 16 : 0, 18;0のような飽和酸の相対的な増加が認められた。以上の変化は各貯蔵温度の場合で認められたが貯蔵温度の低いほど, すなわち本実験では-18℃貯蔵において最も小さく, 低温貯蔵の有効性が認められた。

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