日本食品保蔵科学会誌
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光ファイバー分光測光法による葉菜類中カロテン含量の非破壊測定
因野 要一入江 正和
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1998 年 24 巻 6 号 p. 27-32

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抄録
葉菜類の栄養価や鮮度の指標となるカロテン含量の非破壊簡易予測を目的として, 3種の光ファイバーを用いた可視光による光学的予測について検討した。
(1) 所内, 市販の葉菜類 (シュンギク, ホウレンソウ, シロナ, カンサイナ) の葉について, 透過率表面反射率内部反射率を測定し, 透過率, 透過吸光度, 表面反射率内部反射率のそれぞれのスペクトルデータを説明変数とし, カロテン含量を目的変数として, 重回帰分析を行った。その結果, 寄与率 (R2) がそれぞれ, 0.664, 0.773, 0.728, 0.377で, 内部反射率以外で高い相関性が得られたので以後反射率透過率スペクトルより, カロテン予測式を検討した。
(2) 反射率透過吸光度について, カロテン含量と各波長のスペクトルの単相関を調べた結果, 反射率では, 400~700nmで高い負の相関, 透過吸光度では400~700nmで正の相関が認められた。
(3) 波長の帰属性を検討するために, 標準のカロテンやクロロフィルのスペクトルを測定した結果カロテンは400~500nm, クロロフィルは430nmと680nm付近に吸収帯を持っていた。
(4) 寄与率の高かった透過吸光度および表面反射率のスペクトルを用いて検量線を作成し, 未知のサンプルに対して, かコテン含量を予測した結果, 透過吸光度で寄与率が0.74, 予測誤差が660, 表面反射率で寄与率が0.65, 予測誤差が420となり, 葉菜類中カロテンの非破壊予測の可能性が示唆された。
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