日本食品保蔵科学会誌
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フグ肉総脂質の脂肪酸組成について
小柳 津周藤本 佳道竹永 章生伊藤 真吾
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2000 年 26 巻 6 号 p. 333-338

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抄録
本研究では韓国, 中国およびバングラディシュより輸入した天然, 養殖フグと国内で漁獲した天然フグ26種類の肉部の脂質量や脂肪酸組成およびフグ肉の利用の可能性について検討した。天然フグのTL含有率は, 輸入フグでは, 1.20~2.20%を, 国内産で1.30~2.31%を示し, また中国産の養殖フグで2.50%ともっとも高い値を示した。TLを構成する主要脂肪酸は, いずれもC16 : 0, C 18 : 0, C 18 : 1n9, C 18 : 1n7, C20 : 4n6, C20 : 5n3, C22 : 5n3およびC22 : 6n3酸であり, 主要脂肪酸については他の魚油と類似していたが養殖フグではその組成比に若干の差異が認められた。
このフグ肉の利用面について脂質成分から検討してみると, 魚油中の多価不飽和脂肪酸, 特にn-3系脂肪酸がヒトの正常な組織機能を保持する上で不可欠であるといわれており, 本実験の結果からフグ肉脂質にはn3系脂肪酸が26.14から44.01%含まれており, このフグ肉を摂取することにより効果的な作用が期待できると考えられる。
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