日本食品保蔵科学会誌
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豆腐のイソフラボン含量に及ぼす大豆の品種および豆乳調製法の影響
遠藤 浩志大野 正博丹治 克男島田 信二金子 憲太郎
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2003 年 29 巻 3 号 p. 165-172

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抄録
機能性の高い新規大豆加工食品の開発を目的とし, イソフラボン含量の多い豆乳の調製法を検討した。供試した大豆はスズユタカ, 東北126号, 東北135号 (リボ欠大豆), 東北139号 (低アレルゲン大豆) であった。
(1) 大豆のイソフラボンは品種により異なり, 東北126号が最も多く437mg / 100g, 東北139号が最も少なく107mg / 100gであった。
(2) 大豆のイソフラボンはいずれの品種もマロニルタイブが最も多く, イソフラボン総量の66.7-91.6%を占めていた。また, マロニルタイプのゲニスチンが特に多かった。アグリコンタイプはイソフラボン総量の0.8-2.5%にすぎなかった。
(3) 豆乳の総イソフラボンは大豆の1 / 6-1 / 8に減少した。大豆と豆乳の総イソフラボンは危険率1%で相関し, y = 0.1348x + 0.5626 (r = 0.993) の一次式が成立した。Y = 豆乳のイソフラボン含量, x = 大豆中のイソフラボン含量。
(4) 豆乳のイソフラボンは原料大豆に比べ, マロニルタイプがやや減少し, アグリコンタイプがわずかに増加する傾向が認められた。
(5) 加熱絞り法で調製した豆腐の総イソフラボンは生絞り法の豆腐に比べ, 全粒大豆を原料とした場合で1.33倍, 脱皮大豆の場合で1.1倍多かった。
(6) 加熱絞りで調製した全粒豆乳の総イソフラボンは加水量が6.0倍までは急増, 以降漸増した。脱皮豆乳のイソフラボン抽出率は加水量の増加に伴い漸増した。脱皮オカラ豆乳での抽出率は加水量の影響を受けなかった。
(7) 加熱絞り法と生絞り法で製造した全粒豆腐と脱皮豆腐の総イソフラボンに占めるマロニル, グリコシル, アグリコンタイプの構成比はほぼ同様であったが, 豆乳に比ベアグリコンタイプが少なく, グリコシルタイプが多かった。
(8) 脱皮全乳豆腐はタンパク質, 固形分が全粒豆腐と脱皮豆腐よりも多く食物繊維も含まれていた。
以上の結果, 豆乳のイソフラボンは原料大豆のイソフラボン含量に大きく依存することが認められた。脱皮大豆は, 微生物の汚染防止や風味の改良を目的に一部の企業で採用しているが, 脱皮操作は胚軸も除去するので, 高イソフラボン豆腐の原料としては不適である。脱皮全乳豆腐はオカラをすべて活用し, 酵素処理することから破断強度は小さいがテクスチャーがなめらかであった。また, 大豆の成分を多く含有することから従来の豆腐では期待できない機能性があると考えた。
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