Journal of Applied Glycoscience
Online ISSN : 1880-7291
Print ISSN : 1344-7882
ISSN-L : 1344-7882
Regular Papers
Arthrobacter globiformis T6 イソマルトデキストラナーゼの発現系の構築と性質の解析
殿塚 隆史鈴木 沙織池原 ゆかり水野 正浩金 然桂西河 淳坂野 好幸
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 51 巻 1 号 p. 27-32

詳細
抄録
Arthrobacter globiformis T6イソマルトデキストラナーゼについて,大腸菌による効率的な発現系を構築した.シグナルペプチドを欠失させた発現ベクター(Fig. 1),および25℃という培養温度条件を用い,さらに大腸菌株を検討した結果,当初の段階に比べ発現量は1000倍以上増加し,本酵素の詳細な性質の決定に十分な酵素量を得ることができた(Table 1).一次構造上,A. globiformis T6イソマルトデキストラナーゼは糖質加水分解酵素のファミリー27に属するα-ガラクトシダーゼおよびα-N-ガラクトサミニダーゼとわずかながら相同性を有することが報告されている.そこで,本実験ではα-ガラクトシダーゼの基質であるメリビオースとイソマルトデキストラナーゼとの反応を調べた.イソマルトデキストラナーゼはメリビオースおよびp-ニトロフェニルα-D-ガラクトシドを加水分解しなかった.イソマルトースおよびマルトースに対する本酵素のKi値はそれぞれ2.3および7.8 mMであったが,メリビオースはほとんど本酵素の活性を阻害しなかった(Fig. 2).さらに,メリビオースはデキストランを用いた糖転移反応においても良いアクセプターではなく,イソマルトースをアクセプターとして用いた場合の12分の1しか糖転移反応産物が得られなかった(Fig. 3).本実験の結果,イソマルトデキストラナーゼは加水分解および糖転移において特異的にグルコース残基を認識するものと考えられた.
著者関連情報
© 2004 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
前の記事 次の記事
feedback
Top