Journal of Applied Glycoscience
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インゲンマメStarch Synthase II アイソザイムの多様性
磯野 直人瀬野浦 武志吉川 基世櫻井 靖高渡辺 賢二伊藤 浩之松井 博和
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2004 年 51 巻 2 号 p. 101-107

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抄録

植物のstarch synthaseは,デンプン合成においてアミロースならびにアミロペクチンのグルカン鎖伸長を司る酵素であり,その特性はデンプンの微細構造に影響する.本研究では,インゲンマメ(Phaseolus vulgaris L.)種子におけるstarch synthasesの詳細な特性を明らかにするため,starch synthase II(PvSSII-2)をコードするcDNAクローン(pvss22)をreverse transcriptase-mediated PCR(RT-PCR),5´-rapid amplification of cDNA end(RACE)および3´-RACE法により単離した(Fig. 1).pvss22 cDNAは,2486 bpよりなり,738アミノ酸残基のオープンリーディングフレームを含んでいた.推定アミノ酸配列は,他の双子葉由来starch synthase IIと高い同一性(58%以上)を示した(Fig. 2).pvss22転写産物は登熟中期から後期の種子に顕著に蓄積したが,登熟初期および完熟種子や葉では非常に低いレベルで存在した(Fig. 3).大腸菌で発現させた組換えPvSSII-2タンパク質は,封入体の主要ポリペプチドとして生産された(Fig. 4A).封入体から抽出したポリペプチドを抗原として,抗体を調製した.この抗体は,登熟および完熟種子のデンプン粒結合画分の少なくとも7種のポリペプチドと反応した(Fig. 4B).このうち3種のN末端配列を解析したところ,いずれの配列もPvSSII-2の一次構造中に見出された(Fig. 1).これらのことから,インゲンマメ登熟種子デンプン粒中には,pvss22遺伝子にコードされるN末端領域の異なる複数のisoformsが存在することが明らかとなった.

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© 2004 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
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