Journal of Applied Glycoscience
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担子菌Irpex lacteus由来cellobiohydrolase cDNAのAspergillus oryzaeによる発現
戸田 弘高田 悟史天野 良彦神田 鷹久岡崎 光雄下坂 誠
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2005 年 52 巻 1 号 p. 23-26

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抄録
酵素製剤ドリセラーゼ生産菌である白色腐朽担子菌Irpex lacteus MC-2株より, reverse transcriptase (RT)-PCR法によりcellobiohydrolase cDNA (cel2) を増幅しクローニングした. ドリセラーゼに含まれる各セルラーゼ酵素間のセルロース分解に対する相乗効果を検定するためには単一酵素 (mono component enzyme) を得ることが必要である. そこで, 精製酵素Ex-1を大量に得るためにcel2 cDNAを麹菌Aspergillus oryzaeで発現させることを検討した. 麹菌用発現ベクターpNAN-8142にcel2 cDNAを挿入したのち, 宿主A. oryzae niaD欠損変異株へ導入し硝酸還元能を回復した形質転換株を取得した. 形質転換株に対するゲノムサザンハイブリダイゼーション解析の結果, cel2 cDNAは宿主ゲノム中のniaD遺伝子部位に相同組換えによって1コピー挿入されていることが明らかとなった (Fig. 1). また, 形質転換株の培養上清中には有意なcellobiohydrolase活性が検出できたことからcel2 cDNAが正常に発現し, シグナル配列により分泌されていることが確認できた (Fig. 2). 形質転換株の培養上清からリン酸膨潤セルロースを用いたアフィニティー精製により組換え酵素Ex-1を精製した (Fig. 3). この組換えEx-1が示す酵素学的な性質は, ドリセラーゼから精製したcellobiohydrolase I (Ex-1) とよく一致した. 組換えEx-1の分子量 (60 kDa以上) は精製Ex-1 (54 kDa) より大きく, また24.3%の糖含量を示したことより宿主A. oryzaeにおいて糖鎖付加が起こったことがわかった.
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© 2005 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
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