Journal of Applied Glycoscience
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第12回糖質関連酵素化学シンポジウム
ランダム変異と点突然変異を組み合わせたThermus aquaticus Amylomaltaseの改変とその有用性
藤井 和俊皆川 宏貴寺田 喜信鷹羽 武史栗木 隆島田 次郎金子 寛生
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2005 年 52 巻 2 号 p. 137-143

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抄録
高度高熱性細菌Thermus aquaticus由来のamylomaltase (EC 2.4.1.25) はα-1,4グルカン鎖の転移反応を触媒し, グルコースが22個以上連結された環状グルカン, シクロアミロースを合成する酵素である. このamylomaltaseは, 高い耐熱性を持ちシクロアミロースを効率的に合成することから産業利用に適している. しかしながら, グルカン転移活性とともに微弱ながらグルカン加水分解活性も併せ持つため, シクロアミロースを工業的に製造した場合, その収率は顕著に低下してしまう. そこで, 加水分解活性の低下した変異酵素を得ることを目的として, error-prone PCRにより本酵素をコードする遺伝子にランダム変異を導入した. その結果, N末端から54番目のチロシン残基 (Y54) が加水分解活性に大きく関わっていることを見出した. Y54の機能を予測するために, Y54を他の全てのアミノ酸に置換した変異酵素をそれぞれ作製し各種活性を測定した. 驚くべきことに, 触媒活性中心から15Åほど離れた一つのアミノ酸を置換することで, この酵素の反応特異性が様々に, かつ顕著に変化した. 特に, Y54G変異酵素は加水分解活性が低下しているだけでなく, シクロアミロースの合成活性も増大するなど, より実用性の高い酵素であることがわかった. 野生型酵素を用いた場合のシクロアミロース収率は60%程度であったのに対し, Y54G変異酵素を用いた場合の収率は90%以上と高い収率を示した. このような産業上の有用性に加え, Y54が持つ興味深い機能についてその構造上の特徴と併せて紹介する.
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© 2005 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
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