抄録
土壌還元消毒法は,太陽熱土壌消毒法を発展させた技術で,土壌に有機物を投入し,潅水を行い,土壌表面を被覆した状態で2 ~ 3 週間ほど放置することで土壌中の病原菌密度が低減する。土壌還元消毒では土壌の還元化の過程で酢酸や酪酸などの有機酸やFe2+ やMn2+ などの金属イオン蓄積してくる。これらが病原菌の密度低減に関与していると考えられている。土壌還元消毒では,一般の土壌微生物群密度が処理前とほとんど変化することがないため,再汚染のリスクが低く抑えられることも大きな特徴となっている。日本で開発された土壌還元消毒法は今日までに日本国内に限らず,アメリカや中国などでも様々な工夫がなされ普及が拡大してきている。日本国内においては,低濃度エタノールをはじめ,糖蜜配合飼料や糖含有珪藻土などの製剤が用いられる場合と,米ぬかや小麦フスマなどが用いられる場合などさまざまである。土壌還元消毒は微生物の力に依存しているところが大きいため,特に低温条件下で効果が不安定になることがあり,使える地域や時期も限定される。この課題を解決することで,普及の拡大や新たな技術開発にもつながると考えている。